ESSAY
「寝室のくつわ虫 第七章」
ー夜明けー
表に出ると夜明け前だった。よっちゃんが用意してくれた車に乗り込んで、走り出す。
「もう少しデータが必要だな。よっちゃんに調べてもらおう」
ダッシュボードからネット内データアクセス用のゴーグルを出す。本来なら耳にかけて使用する物なのだが、あいにく僕は耳がないのでオプションのラバーシールを使って耳のあたりに張り付ける。 下を向くとアクセススイッチが見える。これをオンにすると準備完了だ。目の前に一瞬ノイズが走る。アクセスコードを入力すると、目の前によっちゃんがあらわれる。
『なんだい、せいちゃん』
『少し、データを捜してくれないか』
『言ってくれ』
『30号線にあるプログラマーズショップの中にDED250XX-Jがあるかどうか調べてくれないか。わかったら、リストを送って欲しい』
『わかった、DED250XX-Jだね。いつまでに欲しい』
『できれば、15分くらいで頼む』
『よっしゃ、まっとき』
おおっ、なんだかSF小説みたいになってきたな。カエルじゃなきゃかなりかっこいいかんじなんだけどなぁ。等と思っているともうそろそろ52号線である。
『ビシシッ、バリーバリー』
よっちゃんからのデータがダウンロードされてきたようだ。
「30号線の156番ゲートにDED250XX-Jがあるみたいだな」
「在庫状況はっと.......」
『ビススッ、バリーバリー』
「おっ、いろいろあるね~。一応全部あるようだな」
ヤシダンはいつの間にか寝ていた。しばらくの間は何もする事がないから、回りの景色を楽しみながら、車を走らせる。40号線を過ぎたあたりから、少しづつ景色が変わってきた。なんだか彩度が上がってきてちらちらする。 コントラストも少し高いみたいだ。ここの管理者は目がおかしいのか?はたまたサイケ好きのポップアート野郎か、政府のエンバイロメント管理省はもう少し規制を徹底して欲しいなぁ。これじゃあモニタが焼き付いちゃうじゃん。 35号線に入った時になんだか嫌な感じになってきた。今度はいきなり彩度がなくなっているのだ。彩度ゼロ。モノクロームの世界だ。トレーススピードが異常に早い。止まっているものも動いて見える。
「せいちゃん、通行禁止のサインが出ているよ」
ヤシダンがモニタを見ながら言った。
「何処に出てるんだい?」
「32号線だ、あと2ブロックで行き止まりだよ」
「まいったなぁ、残り2ブロックは歩くしかないな」
「せいちゃん、2ブロックも歩いて大丈夫?、乾いちゃうよ」
ヤシダンは心配そうにこっちを見ている。
「今のうちにWGPを検索しておこう」
「それがいいよ」
ヤシダンはソケットに指を突っ込んで表示の変更をしている。変更が終わったところでダウンロードをはじめた。とたんにヤシダンが犬からとかげに変わって行く。
「コンバータが入っているみたいだ、なんだか寒くなってきた」
「急には虫類になったからだよ、ここから先はほ乳類じゃもたないみたいだな」
僕はカエルだから関係無いのだがトレーススピードがあまりに早いと毛のレンダリングがついていかなくてほ乳類はほとんど動けなくなってしまう。そのままほっとくとポリゴンに矛盾が生じてオブジェクトの崩壊が始まる。そうなってしまったらもうさようならだ。車を走らせながら僕もダウンロードした。 歩き始めて少し行った所に最初のWGPがあった。
「一応、マップに間違いはなさそうだ」
「そうだぴ、さっき落としたばっかだからぴ」
ヤシダンはまだは虫類の発声になれていないらしく、言葉の語尾がおかしい。
「歩きと言うことは、今日は、31号線の3番ゲートまで行ったら終わりだな」
しかし、ここはトレーススピードが早い、こんなに早い所は初めてだ。トレーススピードが早いと動きも早いと思うだろうがかえって遅くなるのだ。こういう所では本来少ないポリゴンで動くべきなのだが、ポリゴンコンバータを持っていないので、ショップに行くまではこのまま行くしかない。 目の前で検問をしている。ポリゴンの少ないポリスマンが順番にスキャンしている。どうやら、発声モジュールも付いていないらしい。いちいちダイアログを出して、指示を出している。先にヤシダンが検問のスキャンを受ける。発声モジュールにバグがあったらしく、新しいモジュールに交換するようにダイアログが出ている。ヤシダンはめんどくさそうにプログラムモジュールに入って行った。 僕の順番だ。スキャンを受けると『!』マーク付きのダイアログが出た。
『!:未登録ポリゴンモジュール:シリアルナンバーの入力をして下さい』
ログインした時に登録するのを忘れていた。シリアルナンバーは一旦ログアウトしないと解らない。
「知り合いに、言ってからログアウトしたいんだがかまわないかい?」
『許可』
プログラムモジュールにむかうとヤシダンはまだ、順番待ちをしていた。
「ヤシダン、ポリゴンを登録するのを忘れてたよ、一旦、ログアウトするから」
「わかっぴ、わかっぴ、ここは、まだまだかかるぴ」
「じゃあね」
僕はコンソールを開いてLOGOUTと入力した。
表に出ると夜明け前だった。よっちゃんが用意してくれた車に乗り込んで、走り出す。
「もう少しデータが必要だな。よっちゃんに調べてもらおう」
ダッシュボードからネット内データアクセス用のゴーグルを出す。本来なら耳にかけて使用する物なのだが、あいにく僕は耳がないのでオプションのラバーシールを使って耳のあたりに張り付ける。 下を向くとアクセススイッチが見える。これをオンにすると準備完了だ。目の前に一瞬ノイズが走る。アクセスコードを入力すると、目の前によっちゃんがあらわれる。
『なんだい、せいちゃん』
『少し、データを捜してくれないか』
『言ってくれ』
『30号線にあるプログラマーズショップの中にDED250XX-Jがあるかどうか調べてくれないか。わかったら、リストを送って欲しい』
『わかった、DED250XX-Jだね。いつまでに欲しい』
『できれば、15分くらいで頼む』
『よっしゃ、まっとき』
おおっ、なんだかSF小説みたいになってきたな。カエルじゃなきゃかなりかっこいいかんじなんだけどなぁ。等と思っているともうそろそろ52号線である。
『ビシシッ、バリーバリー』
よっちゃんからのデータがダウンロードされてきたようだ。
「30号線の156番ゲートにDED250XX-Jがあるみたいだな」
「在庫状況はっと.......」
『ビススッ、バリーバリー』
「おっ、いろいろあるね~。一応全部あるようだな」
ヤシダンはいつの間にか寝ていた。しばらくの間は何もする事がないから、回りの景色を楽しみながら、車を走らせる。40号線を過ぎたあたりから、少しづつ景色が変わってきた。なんだか彩度が上がってきてちらちらする。 コントラストも少し高いみたいだ。ここの管理者は目がおかしいのか?はたまたサイケ好きのポップアート野郎か、政府のエンバイロメント管理省はもう少し規制を徹底して欲しいなぁ。これじゃあモニタが焼き付いちゃうじゃん。 35号線に入った時になんだか嫌な感じになってきた。今度はいきなり彩度がなくなっているのだ。彩度ゼロ。モノクロームの世界だ。トレーススピードが異常に早い。止まっているものも動いて見える。
「せいちゃん、通行禁止のサインが出ているよ」
ヤシダンがモニタを見ながら言った。
「何処に出てるんだい?」
「32号線だ、あと2ブロックで行き止まりだよ」
「まいったなぁ、残り2ブロックは歩くしかないな」
「せいちゃん、2ブロックも歩いて大丈夫?、乾いちゃうよ」
ヤシダンは心配そうにこっちを見ている。
「今のうちにWGPを検索しておこう」
「それがいいよ」
ヤシダンはソケットに指を突っ込んで表示の変更をしている。変更が終わったところでダウンロードをはじめた。とたんにヤシダンが犬からとかげに変わって行く。
「コンバータが入っているみたいだ、なんだか寒くなってきた」
「急には虫類になったからだよ、ここから先はほ乳類じゃもたないみたいだな」
僕はカエルだから関係無いのだがトレーススピードがあまりに早いと毛のレンダリングがついていかなくてほ乳類はほとんど動けなくなってしまう。そのままほっとくとポリゴンに矛盾が生じてオブジェクトの崩壊が始まる。そうなってしまったらもうさようならだ。車を走らせながら僕もダウンロードした。 歩き始めて少し行った所に最初のWGPがあった。
「一応、マップに間違いはなさそうだ」
「そうだぴ、さっき落としたばっかだからぴ」
ヤシダンはまだは虫類の発声になれていないらしく、言葉の語尾がおかしい。
「歩きと言うことは、今日は、31号線の3番ゲートまで行ったら終わりだな」
しかし、ここはトレーススピードが早い、こんなに早い所は初めてだ。トレーススピードが早いと動きも早いと思うだろうがかえって遅くなるのだ。こういう所では本来少ないポリゴンで動くべきなのだが、ポリゴンコンバータを持っていないので、ショップに行くまではこのまま行くしかない。 目の前で検問をしている。ポリゴンの少ないポリスマンが順番にスキャンしている。どうやら、発声モジュールも付いていないらしい。いちいちダイアログを出して、指示を出している。先にヤシダンが検問のスキャンを受ける。発声モジュールにバグがあったらしく、新しいモジュールに交換するようにダイアログが出ている。ヤシダンはめんどくさそうにプログラムモジュールに入って行った。 僕の順番だ。スキャンを受けると『!』マーク付きのダイアログが出た。
『!:未登録ポリゴンモジュール:シリアルナンバーの入力をして下さい』
ログインした時に登録するのを忘れていた。シリアルナンバーは一旦ログアウトしないと解らない。
「知り合いに、言ってからログアウトしたいんだがかまわないかい?」
『許可』
プログラムモジュールにむかうとヤシダンはまだ、順番待ちをしていた。
「ヤシダン、ポリゴンを登録するのを忘れてたよ、一旦、ログアウトするから」
「わかっぴ、わかっぴ、ここは、まだまだかかるぴ」
「じゃあね」
僕はコンソールを開いてLOGOUTと入力した。